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転職市況ウォッチ2026年8月号|あなたの給料は上がった?業界で3倍差がつく「働く場所」のデータ

コラム
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この1年で、あなたの給料は上がりましたか?

世の中全体では、給料は前年比+3.5%上がっています。物価の伸びを差し引いた実質賃金でも+1.9%と、4ヶ月連続のプラスです(厚生労働省・毎月勤労統計 2026年4月確報)。

もし、あなたの昇給がそれに届いていないなら——それは頑張りが足りないのではなく、「働いている場所」の問題かもしれません。この連載は毎月、公的データと現場の実感から「いま、どこが報われる場所なのか」を定点観測します。エージェントと違って求人を売る立場ではないので、動かない方がいい月は「待ちましょう」と正直に書きます

今月の4つの問いと、10秒でわかる答え

皆さんの疑問 今月の答え
Q1. 求人はどのくらいある? 転職希望者1人に2.55件。求人は前年より16.6%増えている
Q2. どの業界が特に熱い? IT・DX関連。理由は一過性でなく構造的(本文で解説)
Q3. 自分の業界は報われる場所? 業界間で平均給与に約3倍の差。まず自分の位置を知る
Q4. 世の中の給料は上がってる? +3.5%。あなたの昇給がこれ未満なら、平均に置いていかれている

Q1. 求人はどのくらいあるのか?

転職サービスdodaのデータでは、2026年6月の転職求人倍率は2.55倍。転職希望者1人に対して2.55件の求人がある計算です(前月比+0.11ポイント・前年同月比+0.22ポイント)。

注目は中身です。求人数は前年同月比+16.6%と大きく増加。転職希望者も増えていますが(同+6.7%)、求人の伸びが上回っています。つまり、選ぶ側の有利さが続いている市場です。

※ニュースでよく見る「有効求人倍率」(2026年6月は1.18倍)はハローワーク経由・パート含む働く市場全体の数字です。転職サービス上の正社員転職市場は、それより需給が張っています。
出典:パーソルキャリア「doda転職求人倍率 2026年6月レポート」厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年6月分)」

Q2. どの業界・職種が特に熱いのか?——そして「なぜ」熱いのか

6月に求人の増加率がもっとも大きかった業種は「IT・通信」、職種では「エンジニア(IT・通信)」でした(doda・前月比それぞれ105.4%・105.2%)。

大事なのは「なぜ」です。理由は3つ重なっています。

  • ①企業のAI活用・システム刷新ラッシュ:パーソルキャリアは「企業によるAI活用の拡大や基幹システム刷新が進む中、それらを担うIT人材の採用が活発」と分析しています
  • ②人が全然足りていない:帝国データバンクの調査では、正社員の人手不足を感じる企業は全体で50.6%。業種別トップは情報サービスの66.7%で、理由として「AIの普及やDX化に関する案件の増加」が挙げられています
  • ③一過性ではなく構造問題:経済産業省の試算では、IT人材は2030年に最大約79万人不足するとされています。つまりこの需要は、来月消えるブームではありません

そしてこの波は、ITエンジニアだけのものではありません。AI活用や基幹システム刷新の現場で足りていないのは、「現場業務がわかっていて、デジタルに橋を架けられる人」です。製造・品質管理・経理といった現場出身でDXに関わった経験がある人も、この需要の対象に含まれます。

出典:帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年4月)」

Q3. 自分の業界は「報われる場所」か?

ここが今月いちばん見てほしいデータです。国税庁の統計で、業種別の平均給与を並べます。

業種(抜粋) 平均給与(2024年分) 前年比
電気・ガス・熱供給・水道業 832万円 +7.4%
情報通信業 660万円 +1.6%
【全業種平均】 478万円(過去最高)
宿泊業・飲食サービス業 279万円 +5.8%

トップとボトムの差は約3倍。同じ「フルタイムで真面目に働く」でも、どの業界で働くかによって、これだけの差がつきます。

これは当サイトが繰り返しお伝えしてきたことと同じ結論です。年収は「何をやっているか(職種)」より「どこで働いているか(業界・企業)」で決まる部分が大きい。業績が伸びていない業界でどれだけ頑張っても、昇給には構造的な限界があります。逆に、経験職種を軸に「業界だけを変える」——軸ずらし転職なら、仕事内容を大きく変えずに給与水準の高い場所へ移れる可能性があります。

実例をひとつ。編集部(もとず)は食品業界の品質管理で「年収800万円がほぼ天井」と言われましたが、業界と職種を変えた求人では入社時1,000万円のレンジを提示されました。同じ人間でも、場所が変わると値段が変わるのです。

出典:国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」

Q4. 世の中の給料は上がっている——あなたの給料は?

冒頭の数字に戻ります。世の中全体の給与は前年比+3.5%、実質賃金も+1.9%で4ヶ月連続プラス。「賃上げが当たり前」の局面が続いています。

だからこそ、シンプルな点検をおすすめします。直近のあなたの昇給率は、3.5%を超えていましたか?

超えていれば、いまの場所はあなたに報いています。超えていなければ、世の中の平均に置いていかれている状態です。1年なら誤差でも、これが3年続けば差は一方的に開きます。ただし、即「転職すべき」ではありません。まずやるべきは、外の市場で自分がいくらなのかを測ること。測った結果「今の場所が悪くない」とわかることもあります。それなら安心して残ればいい。知らないまま留まるのと、知った上で残るのは、まったく別物です。

現場からの一言(もとず)

先日の転職エージェントとの面談でも、担当者は「最近は製造現場×DXの需要がとても強い。エージェント社内にDX専門チームができるほど」と話していました。数ヶ月前に「DX実績だけだと弱い」と言われた私に、今回は具体的な求人の紹介があった。市場側が動いている実感があります。

※正直な注記:私自身がいまDX関連で市場価値を測っている当事者なので、「DXが熱い」と感じやすいバイアスはあるかもしれません。だからこそ本号では、doda・帝国データバンク・経産省という第三者データで裏取りしました。実感とデータの方向は一致しています。

今月の結論|報われる場所で働こう

  • 市場は平常運転。焦って動く必要はない。ただし求人は前年比16.6%増=「測る」には良い環境
  • 業界間の平均給与差は約3倍何をやるかではなく、どこで働くかで給料は変えられる
  • 世の中の賃上げは+3.5%。自分の昇給率と比べるのが、今月いちばん簡単な市況の使い方
  • IT・DXの需要は構造的。現場×DX経験がある人は測り時

次号は9月上旬、同じ定点で「何が変わったか」をお伝えします。毎月同じ場所で数字を追えることが、この連載の価値です。

【本記事について】掲載の数値はすべて公表元の一次情報に基づき、各出典へのリンクを明記しています(2026年8月時点の最新公表値。統計により対象期間が異なります)。本記事は特定の転職行動を勧誘するものではなく、意思決定はご自身の状況に合わせてご判断ください。

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